3月も残すところ2週間となりました。心地よい気候への移り変わりに喜びつつも、季節の変わり目に体が驚き風邪をひいたり体調を崩しがちな時期でもあります。
顔を出した春の気候で油断せず、手洗いうがいなど基本的な自衛で気持ちよく春を迎えられるといいですね。

さて、3月は防災に関するお話をしてきましたが、今回も「同行避難と在宅避難」に関してお話したいと思います。

皆さんは「同行避難」「在宅避難」という言葉に聞き覚えはありますか?
聞いたことがある人も、文字から何となく意味を察する方もいらっしゃると思います。
日本は過去の災害もさることながら、将来的にも大きな災害を危険視される災害大国です。
防災という言葉が広まってきた昨今では、ペットと避難を想定し防災グッズなどを備えている家庭も増えてきました。
備蓄はOKでも、実際の避難先や避難方法は決まっていますか?
今回は避難先の選択に関してお話します。

同行避難とは・・・

1つ目は、前述した「同行避難」です。
同行避難とは指定避難所へペットと共に避難することを指します。
環境省が作成している「人とペットの災害対策ガイドライン」においては、同行避難を推奨する旨の内容で作成されています。
過去の災害の経験を踏まえ、ペットを連れずに避難を行った場合のペットの野生化リスクなどのほかに、大切な家族と離れ離れになることによる人への不安やストレス被害を懸念し同行避難を推奨しております。

避難所のメリットは、立地や建物の丈夫さなどを考えられているため安全性が高いことと、支援物資などの援助が受けやすくなることです。
物資が限られる被災現場で、支援物資をいち早く得られるかどうかは重要なことですよね。
また情報を得られる拠点にもなるので、いつ支援物資が届くのかなどを知ることができます。

しかしその反面デメリットもあります。
不特定多数の避難者が限られたスペースでの生活を行うため、プライバシーが守れず常に他人を近くに感じるストレスは体調への悪影響が考えられます。

さらにペット同行可能な避難所へ行けたとしても、基本的にはペットは外部の決められた区画ケージなどでまとめられます。
大切なペットの心配をする飼い主さんと、家族と離れて慣れない環境で暮らすペット、両者の心身にかかるストレスは言うまでもないでしょう。

在宅避難とは・・・

2つ目の避難方法は「在宅避難」です。
こちらは文字のとおり、避難所に行かず自宅での避難生活を送ることです。

最大のメリットは、同行避難のデメリットとして挙げたプライバシーの保護とストレスの緩和です。
自宅であれば当然第三者の目に触れることもなく、比較的安心して生活し身体も休めることができます。
ペットたちにとっても、住み慣れた家の中で家族と共に暮らせることで、災害という不安が残る心のケアに繋がります。

昨今では感染症への感染リスクも懸念されているため、在宅避難を選択することで感染リスクを限りなく抑えることができます。
また、備蓄品も持ち出す必要がなくなるため、収納スペースさえあれば多めに備えることができますね。

なかなか良いことばかりの在宅避難…しかし、在宅避難にもデメリットは存在します。
1つは情報収集が困難になることです。
「同行避難」でもお話しましたとおり情報の発信先は主に避難所になるため、在宅避難だと支援情報など必要な情報を得づらくなります。
生活に欠かせない水や食料の備蓄が底をついたとき、配給支援の情報は生きるために重要な情報になります。

2つ目はライフラインの確保です。
大きな災害の直後は、電気・水道・ガスが使えないことがほとんどです。
そのため事前にソーラータイプの充電器やガスコンロとボンベなど、代わりになるものを準備しておく必要があります。
またトイレも使用できなくなるため、使い捨ての簡易トイレを備えておくか、近くの避難所の仮設トイレを使用する必要があります。

そして、在宅避難は自宅建物の安全が確保されていることが大前提です。
倒壊の危険があるほどのダメージを負っていたり、水害などで室内が生活困難にもかかわらず無理に在宅避難をすると、逆に大きな事故や感染症の危険性があります。
今できることとして、まずはハザードマップを確認し、自宅が水害などでも在宅避難が可能なのかどうかを知るところから始めましょう。

避難方法の選択

2つの避難方法を比べ、ご自身に合った避難方法はどちらでしょうか?
どの避難方法が正解ということではなく、ペットの頭数や性格・年齢、家族構成などから自分に合った避難方法を選び備えてください。

そして災害の被害規模は誰にも完璧な予想はできません。
「在宅避難の備えをしているから安心」ではなく、被害によっては在宅避難ができない状況になり、避難所へ向かわざるを得ない場合があることを覚えておいてください。

避難とは「難」を「避」けることです。
再度、ご自身とペットに向き合い、「難」とはどんなものなのか、「避」けるために必要な準備は何なのかを考えていただければと思います。

執筆


鈴木清隆
一般社団法人 全日本動物専門教育協会
Japan Society for Animal Speciality Education(SAE)
ペット災害危機管理士講師統括責任者

株式会社SAEマーケティングワン
SAE Marketing One Co.,Ltd.
管理部長

特定非営利活動法人ペット災害危機管理士会
Pet disaster risk managar specified non-profit organization
理事長

消防団20年以上の現場経験を基盤に、防災士・応急手当普及員として命を守る行動を実践。ペット災害危機管理士講師として10年、全国で多数のセミナー講師を務める。箱根町でペット同伴宿を経営し、共生の現場を日常で体現。箱根町役場や東京都中央区との協働事業や同行避難マニュアル監修・同行避難訓練講師を担い、制度と現場、暮らしをつなぐ「机上論にしない」ペット防災を伝えている。