2024年度に引き続き、2025年度は中央区内の3拠点において、ペット同行避難訓練を実施しました。
本年度も、スターターキットを活用したシミュレーション型の訓練とパネル訓練を実施し、中央区保健所、動物との共生推進員、ペット災害危機管理士講師陣が一体となり、住民の皆様に対して具体的な避難行動のイメージが持てるよう、より生活に即した啓発を行うことができました。

シミュレーション訓練は、共生推進員が避難者役となり、キャリーを持って受付から退去までの一連の流れを実際に行い、講師がその場で説明を加える方式です。

この形式により、受付手順や保護スペースへの導線、ケージ管理の考え方など、避難所運営の基本を参加者が視覚的に理解しやすくなります。
また、パネル訓練は住民自由参加型のイベント方式で実施される避難訓練の際に選択されるもので、今回は従来のパネル前での説明の他に紙芝居を導入し家族連れに大変好評を頂きました。

また、特筆すべきは、参加者の多くがペットを飼っていない住民であった点です。
都市型地域である中央区において、非飼養者が同行避難の仕組みを理解することは、災害時の混乱を抑えるうえで非常に重要です。
今年度の訓練では、人とペットの避難スペースが分けられる理由やケージ管理が恐怖心の軽減につながること、衛生面での配慮、そして「ペットも一緒に避難できます」と声を掛け合う共助のあり方などを丁寧に説明しました。
その結果、「犬が苦手だが安心した」「これまで知らなかった仕組みを理解できた」など、非飼養者からの前向きな声が多く寄せられ、啓発が確実に浸透し始めていることを実感しました。

一方で、拠点運営側との協働もさらに前進しました。
明石小学校では拠点運営委員長が訓練に参加し、今後のペット受入れ体制の整備について積極的に検討していく意向を示してくださいました。

月島第二小学校では当日の導線が想定と異なりましたが、保健所職員の判断によりレイアウトを即時変更し、参加者がスムーズに訓練を体験できる環境が整えられました。

晴海西小・中学校では親子連れが多い地域特性を先読みし、紙芝居や着ぐるみを活用した講話を行い、多くの住民が楽しみながら学べる訓練となりました。

これらの取り組みは、拠点ごとの特性に応じて柔軟に対応しながら、地域としてペット受入れ体制を前進させるための大きな成果につながっています。

加えて、本年度は保健所・推進員・講師陣の連携が例年以上に強化されました。
それぞれが自らの役割を理解し、講師は専門知識に基づいた説明を行い、推進員は実演や受付補助、備蓄物品説明などを担い、保健所は全体の運営調整と参加者誘導を行いました。
この三者の連携により、訓練全体が一つの流れとして機能し、参加者にも分かりやすく伝わる構成となりました。

総じて、2025年度の中央区避難訓練は、実演型訓練の定着、非飼養者への理解促進、拠点運営側との協働強化という三つの側面で大きな成果を上げることができました。
SAEグループは、中央区の更なるペット防災力向上を目指し、人もペットも安心して避難できる体制の構築に向け協働で取り組んでまいります。