大出智恵美さん

-資格取得年月日-
【ペット災害危機管理士(R)1級講師】2016年12月22日
【愛玩動物救命士】2018年4月26日
【犬猫飼養アドバイザー】2018年8月9日

 

ご自身と動物との関わりについて教えてください

物心ついた時から、ずっと犬と猫と暮らしていました。自分でペットの世話をしようと思ったのは、小学校三年生の時でした。近所の家で生まれた子猫を祖母がもらってきてくれました。その出逢いから、猫との結びつきはより深くなりました。
また、昔は今よりも、捨てられている犬猫を見かけることも多く、拾っては里親になってくれる方を探していました。

大人になって、保護した子猫が体調を崩し動物病院に連れて行ったにも関わらず、その日の深夜に息を引き取り、その子猫がとても短い生涯を終えてしまったのを目にした時に無念さを感じ、「好きなだけでは駄目だ。知識がなければ、小さな弱い命は救えない」と気が付きました。その時はすでに社会人で獣医師を目指すには遅く、それから動物関係の勉強と資格取得を始め、ペット飼養の啓蒙活動を行うようになりました。

現在は、元気にペットライフを送るためには、ペットも栄養バランスが大切だという思いから、ペットフードメーカーのカウンセラーとして、飼い主さんから愛犬愛猫の健康相談のお話を伺いアドバイスを行うかたわら、災害の多いこの国で安全に過ごすためには、危機管理の知識、備えが必要だと感じて、人とペットの防災対策のアドバイスも行っています。

もちろん、今も犬も猫も一緒に暮らしています。

ペットの資格を取得するきっかけは何だったのですか?

東日本大震災が起こった時、外出していて、家に帰った時に愛犬がとても怖がっていました。また、近所の犬は、驚いて二階の窓から飛び降りてしまい、飼い主さんも本当に困惑されていました。人も災害は怖いけれど、物言えぬペット達はもっとストレスを感じているのだな?と、深く感じました。

自分のペットを自分で守ってやりたいし、カウンセリングに出向いた先でお客様から相談を受けた時に、何かアドバイスを伝えてあげられたら喜んでいただけるかも知れないと思い、ペット災害危機管理士(R)資格を目指し、気が付いたら最高頂の1級講師まで取得していました。一緒に講座を受けられた方々の意識の高さに、また講師の先生の熱意にも励まされながら、頑張って高見を目指せたのだと思います。

災害では、人もペットも思わぬ怪我をする緊急事態もあります。愛玩動物救命士の資格もあれば、何か突然起こった時、慌てず自分のペットの命を守れるかも知れないと思い、続いて愛玩動物救命士資格も取得しました。

最近では、パピーからシニアまで、ペットの基本の飼養管理の勉強も再び学び直したいと考え、また、残念にも愛犬愛猫が亡くなってしまって悲嘆されている飼い主さんへは微力ながら支えになれたらと思い、犬猫飼養アドバイザーの資格を取らせていただきました。

ペットの資格取得後の活動や活躍について教えてください。

ペット災害危機管理士(R)講座では、箱根や気仙沼で一緒にグループになって学んだことで、励まし合える仲間と言う宝をいただきました。
私が4級・3級講座を受講したとき熊本地震が、1級講座を受講した直後には鳥取県中部地震が発生しました。メディアでは、建物や人の被害状況は報道されますが、ペットの被害についてはどこからも伝わってこず、ペット災害危機管理士(R)1級を一緒に受けた仲間の間で、鳥取の状況はどうなの?と、心配と不安の声が上がっていました。

私の実家は鳥取の隣の県になります。帰省すれば何か情報が得られるかもしれない、帰省した時に実際鳥取に行ってみようと思い、被災直後の鳥取県の被災地を見て来ました。

たまたま、毎年行われていた愛犬家愛猫家文化祭が、被災の後であっても、飼い主さん、地域の皆さんを励ますためにも開催されていました。ペットの被災状況を聞くつもりで向かいましたが、挨拶してペット災害危機管理士(R)資格の話をしたところ、なんとここで突然「飼い主さん向けにペット同行避難の話を30分話してください!!」とお願いされました。獣医師と県の動物担当者の講話の後に、何の準備もなく集まっておられる沢山の地域の皆さんの前で、私がペット災害危機管理士(R)で学んで来たこと、1級講座の気仙沼で見て感じたこと、備えの大切さ、を30分ただ自分の言葉で話しました。1級講座の課題レポートを苦労して提出した直後だったので、頭に身体にすでに実となっていたのだと思いました。

話し終えた後、主催の皆さんから感謝の声をいただき、県の動物担当者様より、「とてもわかりやすい良い話でした。ぜひ、今度県で講師をお願いしたい。」と言ってくださり、2017年10月に県の4ヶ所の動物取扱業講習で講演をさせていただきました。

鳥取県動物取扱業講習での講演の様子

また、私の住む千葉県にて地域の動物病院でも、獣医師とスタッフさん向けにペットの災害セミナーを開催させていただけました。

獣医師とスタッフさんへのペットの災害セミナー風景

ペット災害危機管理士(R)1級講座で宣言するクレドで、私が宣言していたのは「行政、自治体に働きかけ、獣医師や関係各所と協力して、ペットと共に一緒に命を守って生きられるようにしていく!」と、言うことでした。
3級を取得した時には、自分の住む自治体に連絡して、まだ進まぬペット同行避難の整備状況を知りました。2級、1級と学ぶ級が上がる度に、市役所の危機管理課に足を運んでいました。1級資格取得後、危機管理課の担当者様も「ペット同行避難は考えなければ、と思っていた」と言うことで、昨年は初めて防災訓練会場の一カ所の小学校でペット同行避難訓練を呼び掛けました。今年は、最初から私もスタッフとして打合せから参加させていただき、危機管理監の指揮のもと危機管理課、環境課の職員さんと、避難所責任者の方々、市民の皆さんの協力もあり、三カ所の小学校でペット同行避難を組み込んだ防災訓練を実施する事が出来ました。
まさに私が宣言したクレドが少しずつ叶っていきとても嬉しく思いました。SAE推奨のペット防災ジャケットも、この防災訓練では大活躍してくれたことに大変感謝しています。いつも、SAEならびに多くの皆様の支えがあり、こうしたペットと災害危機管理の啓蒙活動が行えることに感謝しています。

SAE推奨ペット防災ジャケットを着用した愛犬

SAE推奨ペット防災ジャケットを着用した愛猫

これからの活動や今後の目標について教えてください。

日本全国どこに住んでいても、自然災害から逃れる事は出来ません。私が講演する時、「慌てない、命を守って一緒に生きよう!!」と言うことが私の中のテーマです。
何が起きても、自分のペットは何とか守って生きていたい。そのために何が出来るだろうか?といつも考えています。
多くの方が最近は備えの物品を用意していらっしゃいますが、いざという時どうしたら安全確保が出来るだろうか?自分の身を守ることは最優先ですが、私たちを頼って生きるしかない小さな命の安全確保にも、是非いま一度飼い主の皆さんに考えてほしいと思っています。
2018年2月に新しく、人とペットの災害対策ガイドラインも発表されました。まだまだ、このガイドラインのことをご存知ない飼い主さんも沢山いらっしゃると思います。これを伝え、充分な備え、心構えを持っていただくこと、出逢ったら最後まで責任を持って命に寄り添う大切さをご理解いただくことも、私たちペット災害危機管理士(R)の責務ではないかと思っています。

人とペットが笑顔で過ごせる様、これからも様々なサポートをさせていただける存在でありたいと願っています。