「食欲の秋」という言葉があるくらい、夏バテで食欲不振が続いていた身体も、過ごしやすい気候になると自然に食欲が戻ります。
それはペットたちも同じです。食事量が増えたら体重増加に気をつける必要があります。肥満は生活習慣病の一つで、放置すると、QOL(クオリティ・オブ・ライフ)つまり生活の質が落ちるだけでなく、重病につながる恐れもあります。そうなる前に体重コントロールをしっかりすることが大切です。

ペットの肥満対策

犬にごはんをあげるとき

犬は、1回で1日分の量のフードを食べることができるほど大きい胃を持っています。けれども、1日分のフードを1回で与えるというやり方はあまりよくありません。与える回数が1日1回だけの場合は、慌てて飲み込んで喉に詰まらせたり、肥満になりやすいともいわれています。
成犬では1日分を2回に分けて与えましょう。また、子犬の場合は、1回に食べられる量が少ないため、4回程度に分けて与えましょう。
犬は、目の前にある食べ物をお腹いっぱいになるまで食べてしまいます。おいしそうにいっぱい食べる姿はかわいいもの、ですがそれだと簡単に太ってしまいます。体重や健康状態に合せて与える量は調節しましょう。
市販のペットフードの場合には、パッケージに表示してある給与量の目安を参考にします。また、新鮮な水を常にフードのそばに置いておきましょう。

猫にごはんをあげるとき

猫は、昼夜を問わずに頻繁に少量ずつ食べる習性があるため、1日分を2〜3回に分けて与えるか、腐る危険性が低いドライフードを置き餌として使って、いつでも食べられるようにしてもよいでしょう。
ただし、置き餌の場合でも、常に清潔で新鮮な状態にし、衛生を保つことが重要です。水分の多いウエットフードや手づくりのフードなどは、そのまま放置しておくと、腐りやすいため、食べ残しはすぐ片付けましょう。

犬と猫を一緒に飼っている場合の注意

犬と猫を一緒に飼っている飼い主さんへ注意点があります。
ドッグフードを猫に与えるのは危険です。犬は体内でタウリンを合成できる性質をもっています。そのためドッグフードにはタウリンが配合されていません。
それに対して猫は、タウリンを合成することができません。そのためドッグフードを継続的に食べているとタウリン欠乏症になり、最悪の場合、失明や拡張性心筋症になる危険があります。
少し食べたくらいでは問題はありませんが、継続的に与えると、タウリンをはじめとして猫に必要な栄養が欠乏し、病気になる可能性もあります。
ドッグフードは猫が食べてしまわないよう、工夫して置くことが必要と覚えておきましょう。

ダイエットは食事量を減らせばいいというわけではない

ペットのダイエットも人間と同様、摂取と消費のバランスが大切です。
例えば、おやつにクッキーを1枚くらいあげるのは大丈夫と思いがちですが要注意です。たった60kcalのクッキーも、体重5kgの犬にとっては、人間がハンバーガー1個食べることと同程度のカロリー摂取になります。
その分を運動して消費できれば良いですが、肥満により関節疾患になれば、元気に走り回ることができなくなります。そして、筋肉量が落ちれば、それだけ代謝も悪くなってしまいます。

フードの量を減らすことで必要な栄養素が摂れなかったり、そのせいで余計に代謝が悪くなることもあります。
また、本来、獣医師の処方が必要なダイエットフードをインターネットなどで購入する方がいますが、与える量や期間が決められているのに、それを超えてそのフードを食べ続けることで、かえって内臓に負担をかけてしまうこともあるのです。

ダイエットは工夫して取り組もう

フードの量を急に減らすと、ペットは不満を感じてしまい、人が食べているものを欲しがります。愛犬愛猫に「ちょうだい」と見つめられると、かわいそうに思って挫折してしまう飼い主さんも少なくありません。
そこで、フードを替えるとともに、何をどれだけ食べているか、生活を振り返ることから始めることをアドバイスするのが良いでしょう。同時に、食べにくい器に替えて食事にかかる時間を伸ばしたり、1回に与える量を減らし、遊びながらおやつをあげたりといった工夫を凝らします。
飼い主さんも挫折せずにダイエットを成功させるには、こうしたノウハウを活かし、正しいフード選びとごはんのあげ方を工夫することが大事です。

ペットが肥満かどうかをチェックしてみよう

下記の症状は、肥満が原因である可能性もあるため、早めの対策が必要です。もし当てはまる項目があったら、動物病院に相談するように促しましょう。

  • 最近ガニ股で歩く(太り過ぎで股ズレが痛いから)
  • お姉さん座りをする(体重をきちんと支えきれないから)
  • 散歩に行こうとしなくなった(体が重たくて動きが悪いから)
  • 「ハァハァ」の息遣いが、濁音気味になった(人間のいびきと同じく、太っていることで咽頭の壁や軟口蓋に脂肪がつくため喉が狭くなるから)

 

ペットが病気になってから、慌ててダイエットに取り組もうとしても、糖尿病や心臓病といった病気は消耗が激しく、ダイエットが難しいこともあります。日々の体重管理で肥満と病気を予防することが大事であることを忘れずに、毎日の食事量をコントロールすることを伝えていきましょう。